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そうこうしているうちに、タカトがバルトと大叔母を連れて帰ってきた。
「兄様、祖母様!」
リーナは叫んで、二人の元へ駆け寄った。タカトの大叔母はそっとリーナの手を握ると、近くの干し草の上へと腰を掛けた。
「ふぅ、落ち着きますね、ここは」
つい先刻、自殺の真似をしたとは思えない落ち着きぶりで、のほほんと家畜小屋の匂いを堪能している。大叔母が一人いるだけで、この場の空気が一気に和らいだかのようだ。
一方バルトはというと、オディーナをじっと見つめた後、タカトの方を向いて、
「あんな美人どこで捕まえたんだよ。やるねぇタカトの兄ぃ」
「こらバルト。オディーナ殿をそのようにおだててはいけない。彼女は確かに頼もしいし、恩もたくさんあるが、お前は常に首を刎ねる心構えが出来る距離を保つんだぞ、いいね」
「ええっ何でだよ、酷くないかそれ」
「そうですタカトさんあんまりです!!色々あった仲なのに!!色々!!」
「事態がややこしくなる表現は避けていただきたいのだが!」
暫しの間であるが、非常時に似つかわしくない、平穏なひと時を迎えたのだった。
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