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……そろそろ授業が始まる時間。
あの4人が話し終わってばいいんだけどなぁ。
ガラガラとドアを引自分の席につく。
そうすると、変な雰囲気で川崎がやって来る。
「よぉ、今日もバイクで来てたな不良女」
「それだけを、言いに来たの?川崎くん。」
優しく笑顔を返す。京都の嫌な客が来た時にする笑顔並みに優しいと自分でも思った。
きっと川崎は、「くっ!でもこれで終わりじゃない!」と思っているのだろう。
「おい、坂口お前も言ってやれ!」
「えっ!?……あのー東雲さん、最近なんのゲームしてるの?」
……
…………。
…………?
急に入り込んできた坂口くん。この人も可哀想にお調子者3人に無理やり私をいじれって言われたのでしょう。勇気を持って話したことがそれだとは、可哀想な人です。
人をいじったことなんてないんだろうなぁ
少し悲しく思えたので私は質問に答えることにしました。
「最近はゲームセンターの音ゲームと格闘ゲームだよ!」
ピカァァァァっと後光が差すような笑顔を見せる。
別に相手を喜ばせようと嘘は言ってはいません。全て本当のこと。
最近の寄り道コース、コンビニからのゲーセン。れっくんと対戦ゲームで遊んでから帰ります。あの人監視するだとか言うから強制的に家に返すのかと思ってました。それを言ったら、「お前、家に返したらすぐてかけて面倒事に突っ込むだろ。すこしでも遅れて帰れるように色んなとこ連れてってんだ。別にただ遊びたいわけじゃないぞ!?」と言われました。……遊びたいだけだよねれっくん。
「……やべぇってこりゃあいつ骨抜きになってんじゃねえの?」
「あーあ、固まってるよ」
答えたのに、固まってしまった坂口くん。
ああーこの子は女子と話せない子だ。
本当に憐れな子だなぁ。3人に反抗できないから無理やりやったんだ可哀想に。早く連れて帰れバカ3人。
「撤収!」
山田が大きな声で叫び、固まった坂口くんを3人で押し戻す。
なんだったんだこの4人。
「おい、坂口帰っちまうぞ」
「多分彼女、颯爽に駐車場に行くぞ。いつも駐車場にいってるこの前車で帰る時見たんだ」
「先に行って外で待つぞ!」
「「おおー!」」
放課後の掃除の時間の前、男子たちはものすごく急いで教室を出ていきました。
そのおかげで私は教室掃除を手伝っています。
「ごめんね、紗香」
「いいんだよ、日菜ちゃん。あの三羽烏が悪いんだから」
「……貴方本当に鈍感よねぇ、あの3人いえあの4人がなんで今日貴方にしつこく付きまとったか解ってるの?」
全然わかりません。
第1彼らにメリットがありません。
いつも冷たくあしらっているのに、いつもからかってきます。なんでメリットのないことが出来るんでしょうか。
「その顔じゃわからないみたいね、教えてあげてもいいけどそれじゃ貴方のためにならないわ」
ふふんとドヤ顔で言われました。
日菜ちゃん大人っぽいからなぁ、精神年齢低い人の気持ちを読み取ることなんて余裕なんだろう。
「……来ないな」
と山田
「来ないね」
と坂口
「なんでだ?」
と吉田
「……山田と吉田が掃除サボったからその埋め合わせしてんだろ。お前らの班に中南いるし」
「おおお!流石川崎!……ってことはしばらく来ない!?」
ぬおおおお!なんてことだとこのバカは叫ぶ。
「つか掃除サボるなよ!」
「仕方ない、しばらく大人しく待つとするか……」
彼らが駐車場の石段に腰掛けた瞬間。
ガタガタと音を立てながら1台のバイクが駐車場に入ってきた。
「よぉお前ら、そこで何してんだ?」
降りてきたのは赤い髪の高校生。外見が見るからに悪い人。
中学生の彼らはプルプルと震え、3人で固まり合う。そんな中1人の男子は赤髪の男に恐れを抱かず近づいていく。
「れつ兄!久しぶり!」
「あー!裕太か!そろそろ髪切りに行こうと思ってたんだよ!」
川崎裕太、この男の家は床屋を営んでいる。
幼少期から赤髪の不良こと葛城烈斗はこの床屋をひいきにしていた。
そこで裕太と知り合い兄弟みたく仲良くなった。
「れつ兄、バイクで通ってんの?流石だね悪に磨きがかかった感じ」
「失礼だなお前、つかお前らなにしてんの?」
「坂口のやつが好きな子まってんの俺らその付き添い」
じろりと烈斗は坂口と呼ばれる少年をみる。
「ははは、どうも……」
「そりゃ、ご苦労なこった。けどそろそろ帰った方がいいんじゃねえか?今から帰んないといっぱい寄り道できないぜ?」
少年たちは顔を見合わせる。
それをみて川崎は嬉しそうに、「帰ろう帰ろう!」とみんなを連れて帰って行った。
「ごめんれっくん、またせちゃった?」
「いや、クソガキの相手してたとこ。色気づきやがって家に返してやったわ」
「大丈夫?SNSに書かれたりしてない?」
「変な心配すんなっての、さっさと帰るぞ!」
ヘルメットをポイっと投げられ、受け止める。装着して運転手の後ろにしがみつく。
「さて、今日はどこいって時間潰すか」
「ゲーセン!今日はちょっと嫌な思いしたから思いっきり遊ばしてもらうからね!1プレイ奢ってねれっくん」
「はぁ!?なんでだよ、俺あんま金ないんだぞ!」
「仕方ないよ、毎日のように遊んでるんだもん、少しは我慢を覚えるべきだね」
「うるせー!お前はなんで無くなってないんだよ」
「無くなってるよ!お年玉崩してきてんの!」
バイクに乗りながら言い争う2人。
言い争ってるわりにとてもいい笑顔である。
「じゃあ仲良く破産すっか、持ってる札全部両替機突っ込むぞ!」
「OKれっくん!」
2人を乗せる二輪車はガタガタと笑うようにふ音をならし道を走る。
そんな姿を遠目から誰かが見つめてる。
「……あれってれつ兄と東雲か?」
「何言ってんだよ、あの二人が一緒にいるわけないだろ。それよりガチャしようぜ!」
少し考えて、川崎はガチャガチャへと向かう。
これは、言った方がいいのか。でもあの二人がそういう関係とは限らないし。
そんな考えがグルグルと頭の中でうずまく。
少年よ黙っていた方がいい話もあるのだぞ。
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