003

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じりじりと蝉の声が響く6月の昼下がり。 だらだらと汗が流れ、制服に汗が染み込みべたべたと肌にまとわりつく。 まだ7月になっていないと言うのに夏を感じさせます。 「今年のクラステーマは和でいきます。みんないい作品を作ろうね!」 学級委員の女子が元気よく言う。 私を含め、その他生徒はふぁーいとかあーいなどとだらしなく返事をする。 全くこの暑さで面倒臭い話し合いをするなんて考えられません。 私達の学校、諏訪湖中では7月の頭に諏訪湖祭という文化祭があります。 仮想しながらダンスしたり、露天を出したりステージ発表をみたり。 毎年毎年、楽しみにはしているのですが……何しろ準備が面倒臭い。絶対に男女が喧嘩して面倒事に巻き込まれてしまいます。 そこに魔道具があったら爆発して不満を持ってる人に取り付いて魔物化すること間違いなし。今年はみんな穏便に過ごしてくれないかなぁ…… 「ねぇ、紗香ちゃん。知ってる?蛙池の秘密!」 蛙池とは学校の庭にあるため池です。 昼休みになると高等部の人が遊びに来たりカップルがあそこでイチャついています。 そんなことしたらみんなから空き缶を投げられますが、それを無視してカップル共はイチャつきます。どんだけイチャつきたいんだよ。 「……さぁ?そんな話どこから湧いてでたのさ未来ちゃん」 「図書館にある、諏訪湖中七不思議の本!あのね!蛙池の目の前にある月の跡がある土の上で告白すれば永遠に結ばれるって噂!」 ……うげぇ。 聞いただけで嫌な顔になってしまいました。 胡散臭すぎだよ未来ちゃん。 「紗香ちゃん、露骨に嫌そうな顔するね、でもろまんちっくじゃない?私もかっこいい人に告白されたいなって思っちゃった!紗香ちゃんはこういうの興味ないの?」 「……」 「その間はなんなんだろう。怪しいなぁ」 にやにやしながら、私を見てくる未来ちゃん。未来ちゃん恋バナ大好きすぎるでしょ。 「残念ながら、私はそういうのまだ早いって思ってるの。男性に声かけられたこともないしね」 生まれて14年間、恋仲になった男子は0人もちろん女子も0人。 「……未来ちゃん、自分の魅力を解ってないよ。決めた、文化祭最終日の仮想ダンスパーティ私がスタイリングしてあげる!それがいい!」 キラキラと目を輝かせて、私の手を強く握る未来ちゃん。 熱いオーラがメラメラと燃え上がっています。 未来ちゃんってば自分の恋愛に無頓着すぎるくせに人のこととなると熱心なんだからもう。 自分の話をそらそうと「未来ちゃんは告白される予定はあるの」と聞いてみたら。 「……それはないよ。だって私が好きなのは先生だもん。年上でイケメンでかっこいい20代のお兄さんが好きなんだ私」 まさかの年上好き発言。 どうりで周りの男子に興味が無いわけだ。 クラスのマドンナはクラスの平民は相手にしないでクラスのトップの支配者に好意を抱いてるようです。 クラスの会話に耳を傾けるとみんな私達と同じような話をしています。 中学生、色気づきすぎでは? クラスの男子まで恋の話をしています。 この前からかってきた山田と川崎と吉田あと一人あまり目立たない男子坂口くん。 男子はゲームやホビーの話ばかりしているものだと思っていたので少し引いています。 「……おい、お前告白するのか?」 「誰にだよ!」 「山田、お前の好きな奴っていったら一人しかいないだろ!」 「無理だよ、未来ちゃんは3回振られてんだぞ!?川崎こそどうなんだよ、いつもからかってるけど東雲のこと好きなんだろ!?それとも中南か!?」 「ざっけんな!東雲は違うぞ!?だってあいつ不良の匂いがするし!」 「ってことは中南か!いやー相思相愛だな!」 ……騒がしい。というか失礼だな川崎! 不良の匂いじゃなくてガソリンの匂いでしょうが!……多分。 ここにいたら、ちょっとばかしプッツンしてしまうので私は少し席を外すことにした。 「……東雲出てったぞ今の聞かれたんじゃ」 「だろうな……そういや坂口さっきから黙り込んでどうしたんた?」 「まさか、東雲のこと狙ってんのか!?」 「山田大声出すな!そうだよ、悪いか!?見た目も可愛いし笑顔が素敵なんだよ!」 「いやーうん、いいと思うぞけどなぁアイツを狙うにゃちょっとなぁ」 「……おう、不良の匂いもそうだがアイツは昔からすごい噂があるもんなぁ。小学違った坂口は知らないと思うけどよ」 吉田、川崎が困ったような顔で坂口をみる。 「なんだよ、その噂って」 「東雲をいじめたやつ、好意をもったやつ、触れたやつ全員をボコる赤鬼の噂だよ。実際にボコられたやつがいるってんだから本当なんだろうな」 「小学生低学年の時アイツをいじめたやつの顔がアンパンマンみたいになって泣いていたもんな……告白したら最後殺されるって噂だ。その赤鬼は彼女の守護者と言われている。告白するなら守護者にバレないようにだなでないと坂口お前……死ぬぞ」 面白おかしそうに、男子二人は話す。 それを聞いた坂口は顔がひきつり諦めかけたように小さく呟いた。 「……まじかよ」 「その噂のせいで彼女には誰も近ずかないんだぜ、確かに可愛いけどなでも性格が……俺たち男子みたいな時あるし、赤鬼もそうだけど高校生の友達もいるしなぁ二人とも結構存在感あるし」 山田が追い打ちをかける。 ボロボロにされた坂口は3人に向かって思い切り叫んだ。 「……けど、俺だって夢を見たいんだよ!この前俺とゲームの話をした彼女を見たか?すっげえ優しいし俺の話にどんびかない。生まれて初めてだよあんなに楽しく話せた女子は!」 「……俺がからかったらいつも返り討ちにしてきやがるけどな」 「よしわかった。坂口お前の気持ちしかと受けとった!川崎、吉田こいつの恋応援してやろうぜ!」 「面白そうだな!よしまずは話しかけようぜ!川崎いつものようにからかってこい!」 「うへぇ、やりたかねぇよ。坂口お前後悔しても知らねぇかんな」 「大丈夫だ川崎、諦めなければ夢は叶う。それにだ東雲だって興味が無い人にすごい笑顔で話さないだろ!俺らがいい例だいつも腹立つ笑顔を向けて煽ってくる!素敵な笑顔を向けられたことはほとんどない!」 「……そりゃ俺らがからかうからだろうが」
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