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過去
「私は雨宮律紀、歳は19。両親は不明、孤児院で生活していましたが、5歳の時、帯人さんに拾っていただき、雨宮家の養子に入りました。」
「じゃあ、りつきはゆきのお兄さん?」
「立場的にはそうなんです。」
奏多が言うと、律紀は少し嬉しそうに頷いた。
「私のいた孤児院は表向きでは普通ですが、実際は国の軍隊などで使える人材を育てるための訓練所です。その孤児院で成績のよかった私は、公安警察の特殊部隊に所属していた帯人さんに更なる訓練を受けるために預けられました。」
「でも、帯人さんは訓練だけではなくて、私を本当の自分の子供のように扱ってくれて、凄く嬉しかった。子供心に将来絶対帯人さんの役に立てる人間になりたいと思っていました。ある日の夕食の席でそれを帯人さんに言った事があったのですが、その時、私は初めて帯人さんに怒られたのです。」
『そんなこと二度と口にするな!!』
律紀は僅かに上を見て少し懐かしむように目を細めた。
「当時はなんで怒られたのか理解出来ませんでした。理解出来たのはそれから約2年後。柚希ともう1人、違う隊員と3人で初めて任務をこなした日でした。あの日、私たちは初めて人を殺しました。」
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