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「そういった仕事の系統の違いもあり、柚希と私は次第に会う回数が減っていきました。そして先月のことです。」
律紀が大きく息を吐いた。
「真夜中に上から緊急連絡が入りました。至急雨宮帯人と柚希の生存を確認せよ、という連絡でした。私は急いで2人が住む家にいきました。そこにいたのは───────血塗れの帯人さんでした。」
慧悟が大きく目を開く。
「凶器は鋭利なもの。ダガーナイフだと思われます。私が行った時にはもう既に亡くなっていました。顔は原型をとどめていない程に刺されていて、柚希が帯人さんの誕生日にプレゼントで渡していたTシャツを着ていたことと、右の肘に昔からあるという特徴的な形の痣をみて本人だという確認が出来ました。」
「上には自宅で雨宮帯人の死体を発見したこと、柚希の姿は見えないことを連絡しました。問題はこの後の上の対応です。」
律紀の吐いた息は震えていた。
「その後すぐに上から出た命令は、雨宮柚希は見つけ次第なるべく傷をつけないよう綺麗に殺せ、死体は処理せず上に提出しろ、だったのです。しかもこの命令を達成できた者には賞金が出るというのです。」
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