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零王さんに会うことが出来る。
恋人、という関係になってから会える時間は本当に限られていた。零王は組の仕事がある上、表向きの会社の仕事までこなしているのだ。忙しいことは十分に承知しているし、自分に会う時間があるのなら、零王の体を休めることに使って欲しいとも思う。
分かっているのだが。やはり会いたかった。
だから蓮が声をかけてくれた時とても嬉しかったが、その気持ちを隠そうと思ったのだが、蓮相手にそれは無理だったようだ。
「零王さんに会える…。」
昼ご飯を食べ終え、自室に戻った柚希は1人呟いて笑みをこぼした。
その時外から声がかかった。
「柚希いるか?」
「零王のとこ行くぞー。」
蓮と祥悟だ。
「はい!今行きます!」
柚希が返事をして障子を開けた。
「お待たせしました。」
柚希を見ると2人は嬉しそうに笑った。
「そんなに急がなくても零王は逃げねぇよ。」
「ご、ごめんなさい!」
2人が柚希の頭を撫でた。
「行くぞ。」
蓮がそう声をかけ、3人で廊下を歩き始めた。
──────────「ターゲットが移動を開始しました。…了解。中庭沿いの渡り廊下に出たら標準を合わせます。」
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