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「だいぶ寒くなってきたな。」
中庭に面した廊下に出ると急に寒い風が3人の体温を奪う。
「こういう日は鍋が食べたくなるよな。」
「いや、蕎麦一択だろう?」
「なんで蕎麦なんだよ?柚希はどうだ?」
「僕はおでんが食べたいですね。」
「おでん!いいよな!」
「おい何故蕎麦はだめなんだ?」
3人で並んで他愛ない話をしながら廊下を歩く。
その時。
「柚希!!」
突然祥悟が柚希の体を覆った。
「え…っ!?」
混乱している柚希の耳元で鋭く空気を切り裂く音と、そのすぐ後に祥悟の呻き声が聞こえる。
「祥悟さん!?」
柚希が軽く揺すると、祥悟の体は簡単に倒れた。
慌てて祥悟の体を支えると、視線の隅に蓮も誰かに覆いかぶさっているようだった。
「蓮さん!一体なに、が…。」
柚希が蓮を呼ぶと、蓮の体も力なく地面に倒れる。覆い被らされていた人がゆっくりと立ち上がった。頭を軽く横に振ると、柚希と目を合わせる。
「久しぶりだね、柚希。」
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