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柚希も腰を落として言った。
「そう簡単にやられるとでも?」
律紀が僅かに口角を上げた。2人の視線が交差する。柚希の足に僅かな力が入った。それが交戦の合図になった。
律紀がダガーナイフを取りだし、人体の急所を的確に狙う。柚希は全て間一髪で避けているが、避けられるのも時間の問題だと感じていた。迷うことなくナイフを振るう律紀を見て、柚希は背中に冷や汗が垂れるのがわかった。
律紀が柚希の心を読んだかのようにせせら笑った。
「さあ、いつまでもつかな?」
その時。
「柚希!」
柚希ははじかれたように名前を呼ばれた方向を見た。そこには零王が立っていた。柚希は零王の瞳にある意思を正確に読み取り、大きく跳躍して律紀から距離をとった。
「逃がすとでも思ってる?」
柚希を追跡しようとした律紀の体が突然不自然に止まる。驚愕で目を大きく開き、そのまま横に倒れた。
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