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零王は驚きが隠せないようだったが、ゆっくりと口を開いた。
「……でもお前は未成年なんじゃ、」
零王の様子を見た柚希はどこか悲しそうに言った。
「そうなんですが…僕は小さい頃から潜入捜査官になる為にずっと特殊な訓練を受けてきました。……先程襲ってきた律紀と一緒に。子供がまさか訓練を受けた国の人間だとは思われにくい。だから……そうですね、いろいろなことをやりました。普通であれば死刑になってるレベルだと思います。」
ところどころ詰まり、濁しながら柚希は淡々と話した。
「このまま貴方のそばにいる訳には行きません。律紀は僕が引き取るので、今回の件はなかったことにしてください。」
そう言って無表情のまま立ち上がった柚希の腕を零王は力を込めて握り、自分に引き寄せた。
柚希の体が傾く。そのまま零王は柚希の体を抱きしめた。そのまま柚希の耳元で弱々しく告げた。
「行かないでくれ。」
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