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零王と別れた柚希は律紀にいる部屋に向かう。部屋に入ると、律紀は縄で拘束されており、部屋の中心に転がされていた。
柚希はドアを後ろ手で閉めると、ゆっくりと歩き始めた。部屋を1周し終わると、柚希は急に立ち止まり、律紀に背を向けて話し出した。
「零王さんは1時間くらいで目が覚める薬だって言ってたけど、もう起きてるんでしょ?律紀。」
「流石だね、柚希。」
いつの間にか地面に座っていた律紀は微笑んでそう言うと、立ち上がった。同時に体を拘束していたはずの縄が解け、下に落ちる。
「で、柚希。本当に戻る気はないのかい?」
「うん。もう戻らない。」
「……そう。」
律紀は少し悲しそうに笑った。
「柚希は、帯人(たいと)さんが言っていた、居場所、というものを見つけたのかい?」
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