運命

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運命

少年は走っていた。 あたりは夜だと言うのに、ネオン街の光はまるで昼かのような明るさを演出している。 そんななか、上半身に薄汚れたぶかぶかのワイシャツ1枚で走る少年の姿は、明らかにういていた。 何故走っているのか、少年には分からなかった。ただ止まっては行けないと、そう思っていた。 少年がふと顔を上げると、あたりは先程のきらびやかな風景ではなく、暗い路地裏を進んでいた。見上げると、まるで万華鏡のような星空がある。少年は思わずその空に手を伸ばした。 ─────助けて、と。 突如少年の視界に一筋の光が差し込んだ。光は前から迫ってくる。それが車のヘッドライトだと気づいた時にはもう遅かった。 何も出来ないまま体に大きな衝撃が走り、浮遊感の後、コンクリートの道路に叩きつけられる。 ほんとに助けてくれた…。 少年は誰かに体を起こされる感覚をぼんやりと感じながら少し口角をあげ、そう口を動かした。それを最後に少年の意識は沈んでいった。
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