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祖父の遺言
祖父はいった。
「わしにゃ、無理だが、あの天竜川の、水神と、眞子なら、会えるかも、試練のぅ。」
と。
私はまだ幼い時に祖父が死んだ。
私の前で嘘のようなことを言って
ーーーー死んだ。
それから私は成長した。
山奥の中にある中学校での生活に終止符が打たれそうな中学三年の出来事であった。
ーーー祖父の遺影は悲しそうな顔をした。
それは夏休みに入りたての暑い、あつい日の思いつきであった。
祖父が一体何を見たのか、科学的根拠で裏づけて見たいと思った。
祖父との思い出は私の心の中で今も動いている。
『祖父は優しかった。』
いつの間にか祖母に内緒で私の好きなチョコレートケーキを買って来たことがあった。
祖父は、「ばぁちゃんには内緒だ。」といいながら私とこっそり食べていた。
その時、後ろのドアがバキッと鈍い音を出してびっくりとしていた。一瞬の間に、祖母は現れ、現場をとりおさえたかのように、気高くそこに立っていた。
祖父は、叱られた。
かなり、しつこく。
その日から、なにか衝撃を与えたオルゴールのような精密機械のように、祖父が、おかしくなってしまったのは。
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