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友達の好きな人
「坂下って、可愛いよなぁ」
クラスメイトで、同じ野球部でもある山内源太は言った。
「お前、坂下のこと好きなの?」
正直、太賀は名前と顔、同じクラスであること以外は
坂下まひるについて何も知らなかった。
源太の視線の先を辿ると、
購買の会計の列に並ぶまひるが見えた。
隣には同じクラスの堀口絵見の姿も。
「いやぁ…まだ好きってわけじゃ」
「話したことは?」
「…ほとんどない」
「じゃあ、まずは話しかけるところからだな」
「席遠いし、話しかけるタイミングないんだよ…。それに坂下、彼氏いるかも」
「いないかもしれないだろ」
「…お前は他の学校から来たから知らないと思うけど、中学の頃坂下は3学年上の先輩と付き合ってるって噂だったんだよ。しかも、相手は超イケメン。ここの卒業生で陸上部だったんだけど、インターハイの出場経験もあるくらい成績優秀だし。まだ付き合ってるのかなぁ…。もし別れてたとしても、俺なんか相手にされるわけないよなぁ…」
太賀たちの通う高校は中高一貫校で、太賀は高校の時に受験してこの学校に入った。一方、まひると源太は中学からエスカレーター式で高校に上がってきているため、中学時代も同じ校舎に通っていたことになる。
「何も行動起こしてないうちからそんな弱気でどうすんだよ…」
「お前はいいよなぁ、彼女いるから余裕そうで。俺なんか年齢イコール彼女いない歴…。このまま童貞貫いたら妖精になっちまう」
と源太がぼやく。
「妖精って、何だよそれ…。わかったよ、俺が協力してやる」
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