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死ななきゃ治らない病が、世界にはある。
しゃらん、って音がして、足もとを見た。私の右脚が踏みつけた真っ白い歩道の上。そこに場違いな色彩が墜ちていた。
ちいさな翡翠色の、二対の透き通った翅。
……蝶?
確かにそれは、蝶――の死骸に見えた。その傍らに、褪せた黄緑の葉っぱがある。たぶん、この葉っぱを踏んだんだろう。だからこんなに、蝶のかたちは綺麗に残っていて。
真っ青な空から、陽ざしが容赦無く降り注ぐ。
ぴくり、糸より細い蝶の触覚が動いた――そんな気が一瞬。
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