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何かいる。
僕はその影を注意深く見つめる。
……宇宙人だ。テレビでよく見る灰色をしたあれ。
そいつは人間の男性の腹部にガジガジと噛みついていた。
男性はもう息がない。
「あ、青梅さん、あれは?」
「捕食されているのでございます。宇宙人の星は深刻な肉類の食糧難でして地球という星に目をつけたようです」
「うっ……」
口に血をべっとりと付けて人間を美味しそうに頬張る宇宙人。
その光景が気持ち悪すぎて僕は思わず目をそらす。
宇宙人って人を食べるものだったのか!?
「どうされますか? こちらに帰還しますか? ……私としてはお勧めできる選択ではありませんが」
「……」
どうして僕の住む世界はこんなになってしまったんだ?
「シシャモ様?」
「青梅さん、あの宇宙人をどうにかできないんですか?」
「それは無理な相談でございます。宇宙人に敵うはずはありません」
「……」
僕は青ざめた。ここにいたら死ぬ可能性が高すぎる。
「シシャモ様、元の場所に戻りますか?」
「……お願いします」
僕はここよりもあの謎の小部屋を選んだ。
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