エドモンド・スノーの苦労の日々

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「赤って、どうして赤いんだろう、ですか?」 「そうそう。五感の中でいっちばん刺激してくる赤って魅力的だよねー。体に流れているのが赤い血だと思うだけで興奮するしね。でも、血でも人によって部位によって流れ方によって赤の色味が違うし。 どうして、赤は赤なんだろうって。毎日見ていると飽きるどころかぞくぞくしてくるんだよ。悔しいくらいに魅了されて、時たま溜め息をつきたくなるくらいにね。 エドモンドはここにきてそういうの感じない?」 「さあ、どうでしょうか。特に何か変わったと意識したことはありませんが」  むしろ、この部屋の惨状とあなたにドン引きですとは口に出さずに黙っておいた。 相手の方が年長者で、直属の上司は別にいるのだが、その人にサイラスのいうことを聞くようにと言われているので立場も上だ。 「ふーん。白衣が赤く染まっているのって魅力的に感じない?」 「それはサイラスの姿を見てですか?」 「うん。真っ白より情熱を感じて行動したくならないかな?」 「それってその惨状を見てってことですよね? それなら何も」  うっかり、現状ではなく惨状と言ってしまったがまあいいだろう。  彼の能力やどこまでも向き合う探究心は感心するし尊敬もするが、それ以上はない。むしろ、狂気さえ感じるそれに(すく)み気味だ。 「そうなんだ。もうちょっと研究の余地ありだね」
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