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2~3時間程読み漁っていた涼香は目を休めるために一旦パソコンを閉じる。
「ふぅ」と息を吐き、目を閉じて瞼を軽くもむ。
新しい珈琲でも買うか
飲んだばかりであるが、無類の珈琲好きでもある涼香はそう思い立つと財布を手に取り部屋を出た。
大学に入ってから一人暮らしを始めたおかげで、とても自由で周りを気にすることのない自分だけの自由なリズムで生活が出来ている。
正に、1人暮らし最高いえい、である。
面倒なのは身の回りのことを自分できっちりやらないと一気に堕落な女子として転落してしまうので、そこだけは気をつけている。
部屋が臭くなったり、足の踏み場がなくなったり、着る服がないなどの事態が起きるとネットの記事を見る限り一気に友達を失う事態にもなりかねないので流石に人としてそれはよくないと判断し母から学んだことをきっちりやっていた。
それでも、休みの日にまとめてやることが殆ど、だが。
ふと、玄関の時計を見ると15時を指していた。
折角だから甘いものもつまもうか、と購入するものを考えながら棚に置いたままの携帯を手に取ろうとした瞬間。
携帯の画面が光った。
ブーブーブー
震える携帯が示す名前は笹原理華。
数少ないオタクでない友だちで、容姿が優れた可愛らしい友達で彼氏が途切れないという、涼香にとっては遠い存在のはずなのになぜか友達という人物だ。
人当たりがよく気の利く理華の隣にいると別次元にいるような感覚になるが、2人きりの時はとても面白く気が合うのでなんだかんだと中学生時代から細く長く続いている関係だ。
高校も大学も違うのにここまで続いている友は彼女ぐらいなので、彼女から切らない限り涼香は理華のことを友として大切にしている。
携帯を手に取りさっと指を右にスライドして耳に当てる。
「もしもし?」
『やっと出たー! ちょ、ヘルプ!」
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