惹かれる赤

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「何、名前ないの? てか口聞ける?」  二つの質問に、一度目はこくりと、二度目はぶんぶんと頭を振った。 「じゃあ、あんたは今日から直二郎ね。直子に真っ直ぐ生きる、の直次郎」  ぎゅうう、と短いスカートを握りしめる。名前を付けてもらった直子に服従するように、全身全霊かけて握る。  短い布が、太ももまで上がる。すらりと、細いあしが見える。 「ちょっと、下着まで見えちゃうじゃない」  赤色の唇を、楽しそうに歪ませると、僕の手を強くにぎる。  あったかぁい。
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