3 気づき

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思い返せば、桃也くんはお通夜でも告別式でも、無責任な言葉は口にしなかった。 もしかすると、“かける言葉がなかった”というのが真の解釈なのかもしれない。 でも、悲しそうに微笑みながら私の目を見てゆっくりと1度頷いた、そんな姿が今になって鮮明に蘇る。 家族も恋人もいなくなって、この世界にたった1人になってしまった孤独感は、どんなに心許せる友達といても埋まることはなかったんだ。 本当は、毎日、1人の部屋に帰る時も、ベッドに入って眠る時も、朝出かける時でさえ、寂しくて寂しくてたまらなかった。 桃也くんが私の想いを受け止めてくれたことで、今になって、2人がもう戻らない悲しみが止めどなく押し寄せてくる。 桃也くんは、私が子供のように泣きじゃくる間、ずっと背中を摩っていてくれた─。
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