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3 気づき
リビングの床にちょこんと座り、特に興味のない深夜の歌番組を見つめる。
普段なら歌番組は好きだけれど、今は何も頭に入ってこない。
「俺速いから、先にシャワー入っちゃうから! 凛乃ちゃんはちょっと待ってて」
と言って、部屋を片してすぐに入って行った桃也くん。
良かった。
ここで、レディファーストなんてされたら気を遣ってしまうから。
この平等な感じが友達らしくて心地いい。
リビングはベージュのカーペットに、黄緑色のカーテン。
そして大きめの茶色ローソファがひとつ。
私のより少し大きなテレビと、木製ローテーブルが置いてあるとてもシンプル部屋で、桃也くんらしい温かみを感じる。
片してくるね、と言ってはいたけれど、もともと綺麗にしているのだと思う。
真っ黒の画面のスマホを取り出し、恐る恐る電源を入れた。
思わず目を閉じて、ゆっくり薄目を開けていくと、そこには見たことの無い通知の嵐が映し出された。
着信12件、留守電7件、LINE18件。
ブルブルッと身震いがした。
ついさっき、何も通知のないスマホを見て寂しく思ったくせに、今はこんなにも恐ろしいなんて。
予想通り、通知の全ては恭ちゃんだった。
本当ならこのまま既読せずに消したいけれど、仕方なくLINEを開く。
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