33人が本棚に入れています
本棚に追加
仁に付いていくと、おしゃれな雑貨屋さんがあった。看板には『lapis lazuli』と書かれている。仁がドアを開けると、カランカラン、とドアベルの音が心地よく響いた。
「おーいらっしゃい! 仁くん! 」
「こんにちは」
店主らしき男の人は親しそうに仁に話しかけた。私は不思議に思って仁に尋ねた。
「仁? 知り合いなの? 」
「たまに隆介さんに頼まれてここに来るんです」
仁はそう言いながら店主を若干睨む。そんなに嫌悪感のある視線ではないが、仁は何故か店主を睨んでいる。すると、はっとしたように店主さんは話し出した。
「あ、あぁそうだね。うん。今日も隆介さんに何か頼まれたのかい? 」
「いや、今日はこの子が」
「あ、花岡隆介の娘で、花岡日菜と言います!えっと、父に腕時計を買いたくて来ました」
「そっかそっか。私は店主の篠宮 真だよ。ゆっくり見ていってね。仁くんは来てくれたついでに手伝って欲しいことがあるからちょっと来てくれる? 」
「はい」
ほんわかな人懐っこい笑みを浮かべてくれる篠宮さん。仁と同じくらい若いのにこんな素敵なお店を経営してて凄いなって思った。
最初のコメントを投稿しよう!