デート?

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 次の日、学校に行き、教室に入ると親友の宮崎 杏那(みやざき あんな)が駆け寄ってきた。 「日菜おはよう! 」 「おはよ」 杏那は私と話したくて仕方ないというふうに目をキラキラさせている。一体どうしたのだろう。 「ねぇねぇ昨日、日菜すっごいイケメンと居たよね? 彼氏?? 」 「えっ、ち、違うよ! 」 どうやら私に昨日のことを問い詰めに来たらしい。2人で歩いていたところをまさか杏那に見られていたとは知らなかった。 「ははーん、昨日一緒にいた事は認めるんだ。やっぱり私が駅前で見たのは日菜で間違いなかった」 …私は鎌をかけられたらしい。変なところで杏那は頭の回転が早いんだから、と私はため息をついた。 「はぁ、あれは彼氏じゃないよ。ヒューマノイド。父の日のプレゼントを一緒に買いに行っただけ」 「え? そうなの? 」 キョトンとする杏那。 「杏那もヒューマノイド持ってるんだからヒューマノイドが容姿端麗なのは知ってるでしょ? 」 「あ、うん。そう言えば日菜もヒューマノイド買ってもらえたって言ってたね」 何故か杏那は戸惑っているように見える。私の彼氏じゃないと分かってがっかりしているだけかもしれないけど。 「そう。そのヒューマノイド」 私がそう言うと、杏那が何か呟いた。 「ふーん…あれがヒューマノイドねぇ…」 「ん? なんか言った? 」 でも、杏那の声が小さくて私にはうまく聞こえなかった。聞き返すと、焦ったように杏那は 「いや、なんでもない。もうすぐチャイムなるから自分の席戻るね! 」 と、言ってそそくさと自分の席に戻って行った。  何だか杏那は様子が変だった。いや、いつもハイテンションで変だけどさ。あ、これはちょっと失礼かも。そんなことを考えていると、チャイムがなり、それと同時に担任が教室に入ってきてホームルームが始まった。
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