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家に帰ると珍しくお父さんがいた。
「ただいま。お父さん今日は早いんだね」
「あぁ。明日当直になったから早めに上がらせてもらったんだ」
「え、お父さん明日帰って来ないの!? 」
「ん? まぁそうなるな。どうした? 当直なんていつもの事だろう? 俺が居ないのが寂しいのか? 」
私は父の日の当日にプレゼントを渡せなくて困るので聞いたのだが、お父さんは私が寂しがっていると勘違いして喜んでいるようだ。ちょっとニヤニヤしてて気持ち悪いかも…。まぁ今お父さんが明日居ないことが分かって良かった。今日の夕飯の時にプレゼント渡そう。
「ごめん、別に寂しくないから安心してね」
そう言うと、お父さんがあまりに悲しそうに眉を下げるので思わず笑ってしまった。
「仁〜。お父さん娘が冷たくなってきて悲しい…」
と、お父さんが仁に甘えに行くと、仁は夕飯の準備中だったので、ぎょっとした顔をして、私に、何をしてくれるんだ、というふうに視線を送って来た。私はもちろん面倒なので無視。
「隆介さん、もう少しで夕飯が出来るので座っててください」
「…はい」
私と仁にフラれたお父さんは大人しくダイニングテーブルの椅子に座っていた。しょぼんとしている姿はちょっと可愛かった。
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