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夕飯の準備が整い、私と仁も席に着く。そのタイミングで私はプレゼントを取り出した。
「はい、これ父の日のプレゼント。お父さん、いつもありがとう」
そう言うと
「ひなぁぁ、ありがとおぉぉ!愛してるよぉ! 」
お父さんが泣き始めてしまった。まぁ去年もこんな感じだったので放っておく。そして、私はもう1つプレゼントを取り出した。
「仁、いつもありがとう。これは感謝の気持ち」
「え、私もですか? ありがとうございます」
お父さんには腕時計、仁にはネクタイピンをあげた。仁はスーツでいることが多いから。仁にプレゼントしたのは軽いサプライズだったから仁は驚いていたけど、嬉しそうだった。表情があまり変わらない仁は分かりづらいけれど、喜んでいるのは雰囲気で伝わってきた。私は2人が喜んでくれてほっとした。
「お父さん、いつまでも泣いてないでご飯食べるよ。せっかく今日は仁が作ってくれたんだから」
私はなかなか泣き止まないお父さんに声をかけて、ティシュを渡した。すると、お父さんは、ずびぃ、と音を立てて鼻をかんで私たちに言った。
「俺は最高の娘を持った〜。仁くんもいつもありがとうねー」
「いえ、こちらこそお世話になってます」
お父さんと仁の温度差が面白くて私はまた笑ってしまった。
「これからもよろしくね、仁、お父さん」
聞こえてないと思うけど、私はそう呟いた。
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