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…私の考えは甘かったようだ。今日は私の誕生日だというのに、まだお父さんと仲直りをしていない。お父さんは私が口をきかなくなってからも普通に仕事をしている。これではヒューマノイドどころかプレゼントも貰えないかもしれない。おめでとうさえ言ってくれなかったらどうしよう、とか考えた。プレゼントとか別にいいから祝って欲しい、というのが本音だ。もう謝ってしまおうか…。
お父さんは親バカではなくなってしまったのだろうか。親バカはうざったいけど、親バカでなくなったらそれはそれで寂しい。
モヤモヤと考えているとドアの開く音がした。お父さんが帰ってきたのだ。私は、お父さんに謝ることにした。このまんま誕生日の夕食を迎えるのは嫌だ。そう思ってそそくさと玄関の方へ行く。
「お父さん、ごめんなさ———え?」
「日菜、ただいま!お父さん買ってきたぞ!」
「え、えぇぇ!?」
そう言ったお父さんの隣には高身長イケメンがいた。
「ヒューマノイド、仁です。よろしくお願いします。」
感情のない声。でも本当に人間のようだ。まさか本当にお父さんが買ってくれるとは思わなかった。
「お父さん、ありがとう!!」
私は思いっきり靴も脱いでいないお父さんに飛びついた。
「お、おぉ…ははは、日菜、誕生日おめでとう。」
「うん!」
笑いながら私を受け止めてくれるお父さんはやっぱり親バカだな、と思った。
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