33人が本棚に入れています
本棚に追加
私はお父さんに仁と出かけてくる、とLINEしてから携帯を置いて自分の部屋に向かった。仁が帰ってくる前にバッチリ支度は整えてあったが、メイクが崩れてないか、服は変じゃないか最終チェックをしようと思ったからだ。
いつも結んでいる髪は下ろして、シンプルなトップスにジーンズで大人っぽい服にした。仁はかっこよくて大人っぽくて、実際20歳くらいに見えるから、私も少し背伸びしてみた。
部屋から出て、リビングに行くと、もう仁の支度は終わっていたらしい。私服の仁を見るのは初めてだった。仁はそもそも家ではずっとスーツだ。まさか私服を持っているとは知らなかった。
「スーツじゃないんだ」
「ええ。隆介さんに少し私服を持っているように言われたので」
「ふーん……」
お父さんナイス! 思わず心の中でガッツポーズする。今の仁はラフでめちゃくちゃかっこいい。もちろんいつものスーツ姿もかっこいいけど!
「では行きましょうか」
「うん!」
上機嫌になった私は返事の声が勝手にワントーン上がってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!