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心地よい朝の陽ざし。エレフセリアの街並みを一望できるホテルで、ルイスティは部屋の中央に置かれたテーブルに料理を並べた。
スクランブルエッグ、目玉焼き、オムライス、卵焼き(と塩少々)。
レストランで出てきても可笑しくな程、料理の仕上がりは美しく、空腹を促す香りがテーブルの周りを漂い始める。
座った状態でいまかいまかと待ち望むアルグレイ。最後のキッシュを目の前に置かれた瞬間、「いただきます」と大きな声をあげた。
スプーンを器用に使い、オムライスを口に運ぶ。
「うん! やっぱりルイスの料理が一番だよ!」
「アル、褒めても食後のカタラーナしか出てこないわよ」
皿洗いが終わり、アルと向かい合う様に座るルイスティ。幸せな朝の風景だが、そこに異質な声が入り込んだ。
「質問なんだが、なんで卵料理しかないんだ?」
見事に黄色一色の品目を呆然と見つめ、静観していたトートルが思わずツッコミを入れる。
トートルの足元で、彼の左足にしがみつき、ぶるぶると震えるショートボブの女性も同調するように首を縦に振った。
「よく見なさい。唐揚げも作ったわよ」
「鶏に親でも殺されたのか?」
見事な卵と鳥料理のオンパレード。並んでいる料理は確かに美味しそうではあったが、ここまでくると鶏への怨念を感じてしまう。
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