プロローグ

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プロローグ

 思い出してみれば、あの時も色はしっかりとあった。 なかったのは色彩ではなく、そこに目を配る余裕。 失くした時はどこを探しても見つからない。 時間が過ぎて冷静になると、すぐそばにあったことに気づく。 俺にとって見つけ出すきっかけをくれたのは、紛れもなくキミだ。 次はと思っていても、どこまでも続く広い海のような日常に溶け込んでいく。 大切にしていたもの程。 けれど、もう俺はこの色彩を失ってはいけない。 もう見つけてくれるキミがいないから。 子供の頃に宝物だったなんの変哲のないビー玉のようにそれを優しく握った。
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