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昇降口には人だかりができていた。
クラス分け表が掲示されているのだろう。
盛り上がるのいいのだが、少しが離れてほしい。
俺の状況を知っているからか、将生が見に行ってくれている。
仕事が早い。
イケメンは違うな。
「橘は行かなくてもいいのか?」
「あたしは昨日からなので、もう知ってますよ」
入学式があったことを忘れていた。
二年生以上には、ただの春休みでしかない。
「雄也、同じ三組だったぞ。今年もよろしくな」
「今年もよろしく。ってなんか堅いかな」
「いいんじゃない。言葉よりも心が大切だからな」
「修学旅行があるから将生と一緒で安心したよ」
「お前は、もう少し人間関係の幅を広げるといいんだけどな」
そう言われてもなあ。
「お土産待ってますね」
橘が満面の笑みで言った。
これは忘れていたとしても、思い出しそうだ。
本当にちゃっかりしているよな。
「とりあえず、教室に行こう」
耐えきれなくなって提案した。
一日分の気力を使ってしまった気がする。
途中で橘と別れて、新しい教室へと向かった。
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