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船内に取り付けられたベッドは人ひとり寝るのがやっとな大きさである。
それは客室も同じでアンセルムだって解っているはずだ。
「王子、おやめください」
ベッドに組み敷かれ。体を押し付けてこようとするアンセルムを腕を伸ばして拒否する。
「やだ。どうせ君のことだ。アクトリアに戻ってからとか言うのだろう?」
「解っているじゃないですか」
だからどいて下さいと身を起こそうとするが、すぐにベッドに押し付けられる。
「あぁ、もう! このベッドは狭えし、船に乗っている時に余計な体力を使いたかねぇんだよ」
貞操の危機にアンゼルムに対して丁寧に話しをする余裕すら無く。
しかも妙に嬉しそうな表情を浮かべて新鮮だなぁとか言いつつ、仁のシャツのボタンをはずし肌蹴た箇所にキスを落としていく。
「んッ、だから、話を……、あ、こら、舐めるな」
仁の厚い胸板にアンセルムが舌を這わせ。口に含んでちゅっと音を立てながら吸い上げられる。
「ひゃっ、てめぇ、俺ァ、オンナじゃね」
アンセルムと自分との間に手を挿し込んで押せば、口が離れて濡れた胸元が目に入り恥ずかしくなる。
「ジンってば感じていた癖に」
恥ずかしがることないのにと、再び襲い掛かろうとするアンセルムを押さえつける。
「煩せぇッ、て」
途中で言葉遣いに気が付いて、仁はひとつ咳払いをし。
「大変失礼を致しました。王子、御戯れはおやめくださいませ」
と深々と頭を下げる。
「あれ、折角、素の君を見せてくれたのに戻しちゃうんだ。私は別に気にしないのにな」
嬉しいのにと、アンセルムは残念そうに言う。
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