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一気に熱が上がり汗が出る。あと少しでアンセルムに食べられるところだった。
下半身をチラッと見れば、今だ萎えること無く天を向いている。
今はこの熱をおさめることに集中をせねばならない。
ムカついてグッと力を入れて拳を握りしめ、そのまま床を殴りつける。
傍に居てやるなんて言うんじゃなかったと、今更ながらに後悔し始める仁だった。
船は無事、アクトリアの港へと入り停泊する。
何事もなく船旅を終えることが出来てよかったと、仁はアクトリアの空気を大きく吸い込む。
「無事についたねぇ」
とアンセルムがシオンと数名の騎士と共に仁の元へと来て、王族に対してする挨拶をする。
「王子、お疲れ様でした。お迎えの馬車も来ている様なのでお戻りになられてゆっくりなさってくださいね」
それではと再び頭を下げて立ち去ろうとしたが、
「シオン、私はジンと約束があるから馬車を帰らせておいてくれるかな?」
なんて言いだす。
「え、ジンと、ですか?」
そうなのかと仁を見るシオンに、首を横に振り約束など無いことを伝える。
陸に降りたら云々とは言われたが、約束などしていない。
「ふぅん、そういうことをいうんだ」
目を細めてアンセルムが仁を見る。
何か嫌な予感を感じて仁はここから逃げようと一歩後ろに下がろうとするが、強い力で腕を掴まれて引き寄せられた。
強い力で腕を掴まれて引き寄せられ。いきなりのことに足元がとられてアンセルムの腕の中へと倒れ込み、皆が見る前で濃厚な口づけをされる。
「んんッ!!」
ちゅっちゅと卑猥な水音に周りは赤くなったりかたまったり、にやにやしたりと思い思いの顔をし、唯一、冷静な智広が、
「はい、そのへんにしておいであげてくださいね」
とアンセルムの口付を止めた。
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