01. 旅の始まり

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右側に小川が流れる トンネルのような通路を歩く。 周りはゴミやスクラップだらけ。 この辺りは無許可で 産業廃棄物が投棄されているのだろうか? まさか地図に載っていない場所なのでは?と 思うほどに荒んだ光景だ。 トンネルを潜り抜けると 視界に飛び込んできたのは 正に昭和を連想させる村の眺望。 もんぺのような作業着を着た女性や 白の木綿シャツに腹巻き姿と言う 昔のアニメに出てきそうな服装の男性が 農作業をしている。 彼らはまるで博物館の動く展示模型のように 一定の動きを繰り返していて 僕たちに気づいているのかそうでないのか 何一つリアクションをしない。 僕たちはその様子を物珍しそうに眺めながら 村の中心部へ入って行った。 この村のメインスポット 「大焼香場」へ行くためだ。 袖引村へ行くのならぜひここへ、と やまちゃんがゼミの先生から聞いていたらしい。 その「大焼香場」へ行くには再び 下水道のような人口のトンネルへと入り 洞穴と思しき場所を潜り抜けていかないといけない。 薄暗く冷え冷えとした 明かりもない真っ暗な通路を抜けると 日が射す開けた場所へ出てきた。 その先には一段高くなって もくもくと煙の昇っている所がある。 ここが「大焼香場」らしい。
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