02. 冥界の子供たち

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その時だった、僕は前からやってきた 「青い長袖シャツを着た男」とすれ違う。 何故か彼はすれ違いざまに 僕の膝を軽く蹴って通り過ぎていった。 カチンと来た僕に向かってやまちゃんが 「偶然かも知れんから怒るな、コウ!またどこかで会っても無視するんやで」 そう言われその場は事なきを得た。 そして3人は「大焼香場」へと昇っていく。 そこはその名の通り お寺のように焼香をする場所だった。 仏壇に線香をお供えする 香呂と言う仏具だろうか? その巨大版だと思っていただいて間違いない。 池の大きさほどもある壺のような入れ物の前で 子供たちが線香を片手に歩き回っている。 この子たちは幼くして命を落とし、 行く当てもなく来る日も来る日も 線香を供えながらここで暮らしている そんな亡者たちがモデルらしい。 そこはまるで僕たちがイメージする 「恐山」と「賽の河原」が交わるような 不思議な場所だった。 子供たちは笑顔で歩き回っているが 何故か明らかに「この世のもの」ではないと 思えてならない。
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