7人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
その時だった、僕は前からやってきた
「青い長袖シャツを着た男」とすれ違う。
何故か彼はすれ違いざまに
僕の膝を軽く蹴って通り過ぎていった。
カチンと来た僕に向かってやまちゃんが
「偶然かも知れんから怒るな、コウ!またどこかで会っても無視するんやで」
そう言われその場は事なきを得た。
そして3人は「大焼香場」へと昇っていく。
そこはその名の通り
お寺のように焼香をする場所だった。
仏壇に線香をお供えする
香呂と言う仏具だろうか?
その巨大版だと思っていただいて間違いない。
池の大きさほどもある壺のような入れ物の前で
子供たちが線香を片手に歩き回っている。
この子たちは幼くして命を落とし、
行く当てもなく来る日も来る日も
線香を供えながらここで暮らしている
そんな亡者たちがモデルらしい。
そこはまるで僕たちがイメージする
「恐山」と「賽の河原」が交わるような
不思議な場所だった。
子供たちは笑顔で歩き回っているが
何故か明らかに「この世のもの」ではないと
思えてならない。
最初のコメントを投稿しよう!