給与計算 誤算『100』

4/4
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 エクスポートしたデータの隣にVLOOKUPで引っ張ってきた給与Excelのデータを値貼り付けし、IFにて比較する。  すると。 「……これ、だ……」  非課税交通費に誤差がある人が1名、いた。  住所変更により、月中で定期代が変わった人だ。  これを正しい数値で入力する。  すると。  非課税交通費は誤差がなくなった。  だが。  総支給額に変動は。 「……ない」  ふぅ、と小さな溜め息が漏れる。  今度は右のデータの総支給額をコピペして値貼り付けし、左のデータをVLOOKUPで引っ張ってきて、IFで比較する。  すると。  該当者が二名。  一名は先程の非課税交通費に差異があった人。  もう一名は……。 「……調整金で修正した人、か……」  どうやら給与ソフト上で手作業にて修正した為、修正箇所をExcelに入力し忘れたようだ。  誤入力していたセルに正しい数値を入れる。  すると。  仕訳データの総支給額と給与Excelの数値がピッタリと一致した。 「……よかった」  ほっと胸を撫で下ろしつつ。  残りの作業に取り掛かる。 --数分後。 「『遅くなってしまい、申し訳ありませんでした』と」  メールを打ちながら、思わず口にする。  経理担当の佳代さん宛のメールだ。 「送信、っと」  紙飛行機のマークをクリックする。  データが重いのか、少しして『送信されました』の文字が表示された。 「…………ふぅ」  ひと仕事終え、時計を見る。  12:56。  あと数分でお昼休憩の時間だ。  なんとかデータを締め切りまでに送ることが出来、う~んと腕を伸ばし、そのまま机に突っ伏した。 「終わった?」  愛さんが横からそぅっと声を掛ける。 「なんとか終わりましたぁ~」 「よかった。じゃあ、お昼行こっか」  答える代わりに親指を立てて『いいね』ポーズを愛さんへ贈った。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!