その瞬間――超えた!

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【その瞬間――()えた!】  8月上旬のこと……  まさに夏――真っ盛り!――という感じで、夜中になっても自然からの涼しさを得るのは、不可能に思えた。  タカオ、テツヤ、トモキは全員、都立電子工業大学の3年生で、郊外にあるアズマ‧コーポという、学生優先のマンションに住んでいた。  大学は夏季休暇中だったが、3人ともアルバイト以外の予定は無い状態だった。  午後に帰宅すると、光熱費の節約のため、それぞれ日替わりで誰かの部屋に集まっては、ゲームしたりビデオを見たり雑談したりしていた。  その日はタカオ宅が担当だったので、テツヤとトモキは、コンビニ弁当と缶ビールなどを持参して、彼の部屋に集まっていた。  3人は食後、缶ビールを前にして適当なツマミを食べながら、下らない話で盛り上がっていたが、ふとテツヤが、 「ちょっとバイト先で聞いたんだけどさ、三丁目の児童公園の(そば)にある電話ボックスに、夜中の2時に入ると、不思議な事が起きるんだって」  するとトモキが、 「どんな不思議な事? おー、怖いー! なーんてね」  するとタカオが、 「電話ボックスの都市伝説って、けっこうあるよね。だけど正体は、ほとんどガセー! つまりウソー! だもんな」  するとトモキが、 「ちなみに午前2時といえば、あと半時間。三丁目の児童公園なら、余裕で行けるじゃん」  するとテツヤが、 「まー、ここでダベってても、イマイチだし……」  タカオが最後のタバコを消しながら、 「タバコも切れたし……星もキレイだし……」 「じゃ、行ってみるか」  3人は立ち上がり、タカオはエアコンの電源を切ると、照明を消した。
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