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第三通:真っ赤なアレ(その1)
慶くん、こんにちは。
関東では葉桜の季節となったと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
住所に書いているので既にご存知だと思いますが、紆余曲折ありまして私は北海道の釧路市に住んでます。
四月は先月までいた大学受験組がこの町からいなくなり、出会いの季節なのに生徒達との別れを実感する時期です。
この町にも一応大学はあるのですが、うちの塾生徒の八割近くは札幌や東京など大都市に行きます。
進学で地元に残ろうか、外に出ようか迷っている生徒からどちらが良いか相談を受けた時は、私は外に出たいという思いが少しでもあるのなら、出てみてはどうかな。と答えるようにしています。
私は地元を離れ戻ってきたパターンなので、離れたからこそ知れた事が多く、今でもそれがなんとなく生きる糧になっているので、生徒への意見は心からくるものです。
久しぶりに暮らすこの町で心から楽しみにしている事があります。
それはほぼ毎日訪れ私を照らし、時には優しい光で包み混んでくれます。
クイズみたいに書いてしまってますが、釧路市は何で有名か?と質問されると漁業というのが一番多い回答だと思います。
二番目以降は様々で、釧路湿原や丹頂ツル、または数年在住していたという石川啄木の名前をあげる人もいます。
私がこの町の見どころとして一石を投じたいのが『夕日』の美しさです。
こんな小さな町ですが世界三大夕日と言われ、バリ島とフィリピンのマニラ市と並ぶ美しさと船乗り達の間で言われており、有名写真家が訪れるくらいです。
世界三大かどうかはわかりませんが、この町の夕日は雲や霧と一緒に演出され、見たことがない色を放ちます。真ん丸い赤い夕日が見れる時もあれば、夕日自体は隠れて代わりに雲が石炭の燃えている部分のような色を放ち雲の周りは薄い藍色になり複雑な配色になります。
日が沈むのは今の時期だと五時くらいで、関東よりも一時間程早いですが、太陽の余韻があるので瞬く朝方のような明るさが残り、その後一気に暗くなり気温もぐっと下がります。
塾が始まる前、私はほぼ毎日この夕日を見て無心になる数分があります。日頃の悩みを溶かしてくれるかのような夕日に感謝し、講義をスタートするのです。
バリで一緒に夕日を見たのが懐かしいですね。
あの夕日を一緒に見た慶くんだからこそ、一度この夕日を見て欲しいです。
また、お便り致します。
平成28年4月12日
杉崎ほのか
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