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第四通:うちあけ
慶くん
立秋とは名ばかりの暑い日が関東では続く思いますが、その後お変わりありませんか?
慶くんは七月七日の七夕生まれでしたね。遅れましたがお誕生日おめでとうございます。お互い三十三歳になりましたね。
今日は北海道の七夕です。一ヶ月関東より遅いのですが、こちらの気温はやっと薄着で夜外出ができるくらいです。
塾に冷房はありませんが、夏休み講習中、窓をあけ大きな扇風機を回せば誰も温度については文句は言いません。
暑さを味わえない夏でも、生徒達は年に一度の花火大会を前に今日はソワソワしていました。
少年少女の体って本当不思議です。
去年は子供みたいだったのに久しぶりに夏講習で会うと、背は伸び、男女の性の差がグッと出てきます。
換気をよくしている講義室でも性の香りは漂い、生徒達を誘惑します。
私はそんな生徒達を見守り、講義を邪魔する程の過度のコミュニケーションがあれば注意をして受験のサポートをします。
生徒達は本当に可愛く、自分にも子供がいたらいいなとよく思います。
名字が変わったので気づいていると思いますが私には五つ上の夫がいます。
結婚して八年近く経つのですが、私達には子供はいません。
今年に入り互いの年齢を考え不妊治療の初歩的段階を経験しました。
初歩的というと血液検査や卵胞検査ですが、様々な事がわかるのだなと少し怖くなりました。
検査は基本なぜ妊娠しないかを調べるものなのですが、私の年齢で重要視されるのが、どれだけ卵胞を持っているかどうかです。
卵胞数は厳密に数を数える事はできないのですが、分泌されるホルモンからの相関値で測ります。なぜ重要視されるかですが、卵胞は限りがあるからです。卵胞が無くなってしまったら女性はそこから自分の子供を作れなくなります。三十代前半以降卵胞の数は急激に少なくなり、閉経が訪れる五十歳頃になくなります。
検査は卵胞の数を調べ、それが少ないと治療のステップを上げ、自然受精から人口受精、体外受精に移ります。
一方的な考え方ですが、人間に対する生産性は存在するんだなと思いました。女性を生殖目的で襲う生物がいたら、卵胞が多い方からどんどん襲っていくのかもしれない。
そんな妄想をしてしまうくらい私にとっては衝撃的な事でした。私の卵胞数は年相応でしたし、他の検査も今のところは問題ありません。こんな事をいきなり赤裸々に打ち分けてしまいお恥ずかしいですが、そのくらい大事件だったのです。
かしこ
平成28年8月7日
杉崎ほのか
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