あたしのユメ

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あたしのユメ

いよいよ今月末は中学総体の地区大会。 あたしの中学最後の大会が始まる。 同じ地区には小学校時代からランニングクラブで一緒だった橘麻美を筆頭に…というか、麻美はズバ抜けてダントツなんだけど、それ以外にも“あ、コイツには敵わねえな”って子がたくさんいる。 どうせもとから県大会には進めないけど、地区大会の決勝進出者8名の、いわゆる『ファイナリスト』になって終わりたい。 それだけを目標に頑張ってきた。 なのに… 大会三週間前だというのに、あたしはここにきて絶不調。 後輩の手動計測だけど、ここんところ自己ベストに0.2秒以上遅いタイムしか出せてない。 “追い込みすぎで疲れてるだけだから、少し休め”と先生には言われているんだけど、練習していないと、不安で不安で仕方ない。 “最初の踏み出しの時の身体の角度が…” とか、 “スターティングブロックの左右の位置や角度を変えてみたら…” とか、自分で勝手に判断して、さらに不調に陥るスパイラル。 こんな調子じゃ、地区決勝なんて夢のまた夢。 二次予選進出すら危うい。 「はあ…どうしたもんかねえ…」 練習後、スパイクを脱いで、部員の溜まり場になっている渡り廊下のコンクリートの上に胡座をかいて、あたしは大きなため息をつく。 最近ピリピリしているのが周りにもバレているので、後輩はもとより、仲のいい同級生の部員も距離を置いて座っていて、落ち着いた私が“帰りにコンビニ寄ろっ?”と話しかけるまでは、そっとしておいてくれる。
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