腐死丘壮の殺人

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 湊町隆則(みなとまちたかのり)  生粋の映画研究サークル会長にして、今回の『腐死丘壮の殺人』のメガホンを撮ることになった監督だ。 ホラーに限らず、観る映画はミステリやサスペンスなど幅が広く、御堂よりも知識量は豊富だと自負しており、コメディが好きな川石とも話が合うようで、映画のレビューも指南している。 監督に就任したのは、以前は御堂が監督をしていたが、邸桜大での評価は芳しくなく、こんなレベルの低い映画を撮るために研究していたのなら、サークルは解散するべきだと大バッシングを受けたのだ。 湊町は今回の撮影で、再検討して見ほしいと邸桜大に申し出て、御堂と監督を交代した。 バッシングを受けた後で、メンバーもつぎつぎ退会し、撮影の予算も底をつきかけたが、湊町はあとに引けなくなっていたのだ。  「13日の金曜日、エルム街の悪夢、ハロウィン、悪魔のいけにえ、ラストサマーの五作のエピソードをミックスしているね。犯人が食肉工場育ちなのは悪魔のいけにえの、ババ・ソーヤ。幼少期から殺人鬼はハロウィンのマイケル・マイヤーズ。火災で火傷するのは、エルム街の悪夢のフレディ・クルーガーだ。キャンプ場は、13日の金曜日のジェイソン・ボーヒーズ。死んだと思われた人物が実は生きてるのは、ラストサマーから拾ったんだろう」
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