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「なんか、聞いちゃいけないことを聞いちゃったみたいで、ごめんなさい」
「いいんだ。川尻さんは、サークルのメンバーじゃないから、わからないこともあるんだよね」
湊町はふぅとため息を吐いて、車の外に目線を移した。きっと「軽い気持ちでプロジェクトに参加したが、まさかこんなトンでもプロジェクトだったとは思いもしなかった」とデスゲーム小説に登場する学生キャラクターのような心情が特に強いのが、川尻だろう。
そんなことも考えたが、湊町を含め映画研究サークルのメンバーたちは、これから撮影に向かう『富士丘壮』というペンションがどんな場所なのか、知る由もない。
というのも、ペンションに電話で予約したのが御堂なので、無理もない。
「そう言えば、富士丘壮ってところ、ちゃんとお風呂とトイレはあるんでしょうね」
川尻は御堂に訪ねた。
「美春は、随分と初歩的な質問するんだな。あるに決まってるだろ」
「寝るところは男女別々なんでしょうね。大事なところよ、ちゃんと答えて」
「別々に寝れば問題ないだろう。そもそもペンションは、そういうところだ」
質問の多い女を撮影クルーに選んでしまったと、御堂は一瞬後悔したが、いや、矢張り採用したことに間違いはない。と思い直す。まずまずのルックス、スタイルもいい、3サイズも助監督の好みにぴったりだった。演劇部とあり演技力はある。
唯一、性格に難ありというのを除けば問題はない。
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