ある愛のカタチ

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 私が案内できるのはここまでだ。  聖地カラドから中国までの道中、一言も口をきかなかったスーツの男が初めて少年に話しかけた。  最初の言葉が、別れの言葉になろうとは。  しかし、それに感傷を抱くような少年ではなかった。  所詮この男は、自分を修行地へと導くだけの役割しか持っていないのだ。  少年・天佑(てんよう)は唇を真一文字に結んだまま、うなずいた。
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