その肖像は、アニリン・マジェンタで

02 面影のレイワード

独りきりの空間に戻った地下牢獄。

鉄仮面を付けられた俺は、壁に向かって呟いた。

「ライヴァール、君が裏切ったのか？
それとも、偽者に気づいて、俺を助けに来てくれるのか？　ライヴァール……」

国民から『微笑みの宰相』と呼ばれるライヴァール。
柔らかな物腰に、インテリジェンスの光る眼鏡。

あの笑顔の奥に、あの眼鏡の奥に、野望を秘めていたというのか？