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赤き因習に囚われたマジェンタ王国。
他国よりも、遺伝的に双子が多く生まれる呪いの原因は、
国旗のモチーフにもなっている『赤い月』が原因だと伝えられている。
多くの国民達が、生まれたばかりの……穢れのない状態で殺されているのだ。
嬰児達が、一体何の罪を犯したというのか?
そして、忌み子に手をかける者達に、罪がないと何故言えるのだろうか?
僕は特別な存在だった。
多くの処分される赤ん坊と同じように生まれ、
一方で、体に流れる血潮に畏怖されていたのだから。
マジェンタ王国の赤子は、殊更赤い――。
これは、グレート・ブリテン大百科にも載っている有名な諺で、我が国を語る際に必ずと言って良い程、引用される。
僕はこの血により殺されかけ、この血により生かされたことになる。
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