83人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「莫迦な! 国民を欺けると想っているのか?」
「馬鹿はあなただ。国民が、どれだけ王族のことを知っていると?」
「……側近は? ライヴァールを騙せはせんぞ!」
「フフフ、どこまでもおめでたい兄上だ。
どうして僕は、今まで殺されずにいたのか?
どうして僕は、城内に居るのか? 誰かの手引きが必要ですよね?」
俺は、無機質な床タイルに両手を付けたまま、立ち上がれなかった。
まさか、……ライヴァールが?
「ご安心ください。
シャーロットも、踊り子のイザベラも、ヴェロニカのことも。
今まで同様に、愛してあげますよ」
あぁ、シャーロット。愛しい我が妃。
「あなたには、この鉄仮面をプレゼントします。
本当は僕が暮らしていた魔窟に幽閉したいところですが、人目に触れさせたくない。
もし、騒ぐようなら、水銀で喉を潰します。
もし、暴れるようなら、手足を斬り落します。
どうか、静かに暮らしてください」
最初のコメントを投稿しよう!