04 シャーロットは問いかける

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04 シャーロットは問いかける

「あなた、誰なの? アニリンはどこに居るの?」 「何を言っているんだ、シャーロット? 僕が偽物だとでも?」 準備は万端だった。 見た目も声も、兄上と同じ。 口癖や趣味嗜好のマスターも、幼い頃から共に育ったライヴァールのお墨付きだ。 三十年来の付き合いの側近の、だ。 政略結婚で嫁いだばかりのフランス王侯貴族の娘に何が分かる。 昨晩も、十年近く愛人関係を続けているヴェロニカに不審がられず、(ねや)を共にしたんだ。 だが、シャーロットは美しい。 ヴェロニカとも、踊り子イザベラとも違い、気品がある。 言うなれば、持って生まれた王族の資質。 兄上に伝えられ、僕には継承されなかった『何か』。 彼女の澄んだ碧い瞳に射抜かれると、余計に無力感に(さいな)まれる。 苛まれた無力感は、文字通り、苛立ちに変わる。
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