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僕はね、兄上、この日を待ち続けていたんですよ。
同じ父上の血を受け継いで……。
同じ母上の中で育ち……。
同じ日に生まれ……。
なのに現実はどうだ?
父上に愛されたのは兄上だけだ。
母上の乳で育てられたのも兄上だけだ。
同じ日に生まれた、同じ顔の子供だったのに。
兄上が帝王学を学び、王族たる英才教育を受けていた間、
一体僕は何をしていたと想う?
兄上が学友達と遊び、社交界の華達に囲まれていた日々に、
一体僕はどんな目に遭っていたと想う?
産まれ墜ちた瞬間に、全てを手にした兄上。
産まれ墜ちたが最後、全てを失う運命の僕。
僕の不幸は、あなたの幸運であり、
あなたの不幸は、僕の幸運なのだ。
だから、あなたはこれから、全てを失い、
反対に、僕はこれから、全てを手に入れる。
親友のライヴァ―ルも。
美しきシャーロットも。
僕が兄上と入れ替わろうと、誰も気づく者はいない。
同じ顔、同じ声。
王子の、王の職務など、執政官に任せておけばよい。
僕は、あなたがそうしてきたように我儘に振舞い、遊んで暮らすだけ。
あなたを殺しはしません。
言ったでしょう、兄上?
僕は『成り代わる』のではなく、『入れ替わる』のだと。
今日から、僕がアニリンで、あなたがレイワードだ。
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