アイツなんか……嫌いだ

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オレの名前は藤谷(ふじたに)。普通の高校生だ。 朝から不機嫌に教室の入口近くで女子に囲まれてるソイツを睨む。 ソイツの名前は宮坂(みやさか)。今日も軽やかなトークで場を盛り上げる。 宮坂は女子人気が高く、常に擬似ハーレムを築いてる。が、性格は良く人当たりもいい。それに加え、品行方正、文武両道。同性の友人も多い。だから僻まれることは度々あっても恨まれることはない。オレを除いては。 こちとらモテたくともモテないのに……と朝からしかめ面をしてると、前の席に座る奴が一人。 「よっ!どした、宮坂に恋しちゃったか?」 「寝言は寝て言え、浜地(はまじ)」 浜地。前の席に座る男子。やたらとオレに話しかける。アイツに恋だと?馬鹿馬鹿しい。 「寝てませーん。起きてまーす」 「煽ってると見ていいな?歯を食いしばれ」 「きゃっ、暴力はんたーい!」 「きゃっ、じゃねぇよ。きゃっ、じゃ。ったく……」 「……今日も僻みが止まりませんなあ」 「そりゃあんなに女子に囲まれてりゃな。……羨ましくもなる」 「まあなぁ。ま、アイツだから仕方ないよな」 「……アイツがこの教室に来なくなったら、オレがモテたりするかな?」 「その怖い発想今すぐポイしなさい」
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