野良猫

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朝起きるとゴローは居なくなっていた。 「…ゴロー…?」 起き上がろうとしたけれど、昨晩のおかげで身体中が痛い。俺は大きな溜息をついてベッドに体重を預ける。 「行っちまったか…」 微かに開いている窓を見る。スニーカーは無かった。 俺は寝ぼけ眼で顎をさすった。伸びてしまった無精髭が掌でざらつく。 朝の爽やかな風がカーテンを揺らして、梔子の香りを運んできた。ベッドの中にはまだ微かな温もりが残っている。 「また来ねえかな」 俺の可愛い、野良猫。 end
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