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二階堂の屹立がルカの臍に当たる。
小ぶりなルカのものも、二階堂の下腹部に触れる。二本の肉棒が互いの腹に挟まれ、擦れあう。腰の動きだけで、触れては離れ、離れてはくっつく。
欲望は先走りを溢し、二人の下腹を汚していく。
「ルカ、やぁらしいなあ。すごく興奮する」
「あん、もう……ちょうだい」
手を伸ばして掴もうとしたところを、二階堂に腕を握られ止められる。
「っあ、やあ……欲しいの、に。焦らさないでっ」
手足を掴まれたルカは、狂ったように頭を打ち振るう。
さんざんに煽られて、Ωの本能に支配されていた。
「かわいいよ、ルカ」
二階堂はそう言って、ルカの臀部を持ちあげ、腰を入れる。牡を求めて貪欲に蠢く秘孔に、切っ先を宛がった。
「あああッ!!」
欲しいと思っていた場所へ、硬い楔がめりこんでいく。蜜で潤みきった隘路は、待ち焦がれていた肉を感じて嬉しげに蠕動を繰り返す。
何度、経験を重ねようと、繋がる瞬間は息をつめてしまう。
体の内側へ他者を受け入れる時に感じる法悦で、ルカの頭は真っ白だった。
屹立で深々と穿たれているところに、全身の神経が集中する。
後孔であって、そうではない。奥に息づく子宮へと続く、虚ろな空洞。
やわらかな襞が、二階堂のもので押し広げられている。
自分自身が、孔そのものになったように錯覚する。
「すごい、締めすぎだよ」
「そんな、あ、だって、やぁ、」
持ち上げていた膝を下ろされ、角度を変えられる。肉の凶器がルカの最奥めがけて、熱い襞を抉る。
「あ、はいっちゃうぅ……」
自分から足を開いて、二階堂を招き入れた。
「中、すごい熱い。うねって、からんで、しゃぶりつくされそう」
「あ、ん、だって、それ、もっとぉ」
力ずくで突き入れられ、衝撃で大きく背がしなる。肉が圧迫され、骨が軋む。ゆるゆると引き抜かれるのが切ない。
抜かないでほしい。
このままずっと、繋がっていたい。
離れたくない。離したくない。
ルカの体に、ぴったりハマる人。
デコボコの空洞を余すところなく埋めてくれる人。
「すき。二階堂さん、すき」
いましか言えない。行為の最中しか言えない。
二階堂さんが一番好き。
αの客と寝たこともあるが、こんな気持ちにはならなかった。男らしい体と、若くて充実したものを与えられても、心のどこかが埋まらなかった。
二階堂といる時だけだ。ルカが、体も心も満たされるのは。
だから言えない。
二階堂も、客とスタッフの関係から、さらに踏みこんではこない。二階堂はβだから、ルカの番にはなれない。きっと、番になれないことを気にしている。
「ああっ、も、出そうっ!」
激しい抽送を続けている内に、二階堂が低く呻いた。
人工の皮膜越しに肉杭の震えを感じとって、ルカは腹圧をかける。
そこはビュクビュクと跳ねて、思いの丈を吐き出しているのがわかった。
ルカから切り出すまでもなく、紳士な二階堂は避妊を欠かさない。発情期中のΩの妊娠率は高いので、ルカは避妊薬を服用している。
本当は、叶うことなら、二階堂をそのまま感じたい。彼の精を直接、注いで欲しい。
そんなこと、言えない。
「……ごめん」
ルカに覆い被さっていた二階堂は、シーツに肘をついて上半身を起こすと、申し訳なさそうにつぶやいた。
彼に二度目はないのを知っているルカは、首を振って笑いかけた。
「ううん、いいんだ」
「でも、ルカはまだ、でしょ」
「いいよ。僕は、二階堂さんに満足してもらえればいい」
自分がイきそこねたことなんて、なんでもない。
この貪欲な体につきあってくれるだけで、感謝こそすれ、責めるつもりなんてない。
自分の体で気持ちよくなってくれれば十分だ。それ以上の希望を、二階堂に告げる気はない。
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