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「なんだ? 不満そうな顔して」
体が熱い。発情期じゃないのに、腰の奥がモゾモゾして落ち着かない。
「だって……これ以上、どうやって誘惑すればいいかわからないよ」
こんなことしたら、なんて思われるだろう。みっともないって、嫌われるかもしれない。でも、我慢できなかった。
そばにいたい。もっと近くに感じていたい。
「ルカ。食べちゃいたいくらい、可愛い」
「え、うあっ」
うなじに手を添えられただけで、過敏になった肌が痺れる。突然、上気した頬を舐められ、ルカはうわずった悲鳴をあげた。
「え、あ、ああッ!」
猫が水を飲む時の音が響く。頬を濡らす舌は一度離れて、時間をかけて唇が重なりあう。
ついばむような浅いキスが物足りなくて、鼻を鳴らしてねだると、二階堂は深いキスを落としてくる。
顔から食べられてしまいそうなほど、貪欲なキスに目眩がする。呼吸ごと吸いこまれていまいそう。ルカは自分の体の変化に気づいて、ようやく我に返る。
「感じてくれたんだ?」
やっと口を離した二階堂に、息がかかるほど近くから覗きこまれ、思わず両手で顔を覆って呻く。
「……恥ずかしい、です」
「でもルカは、恥ずかしいの大好きだろ」
そう言うと、ルカが隠そうとした場所に手をのせてくる。
「え? あ、やめっ……」
いやらしい手つきで撫でまわされ、身をよじって抗うが、あっという間にアンダーウェアごとズボンを下ろされていた。
こんな明るいうちから一人だけ下肢をさらされ、焦らすような愛撫を受けて、さらに滾ってくるとか恥ずかしいにもほとがある。
「もう、こんなに滲んでる」
「ひゃあァ?!」
すっかり上を向いた先端を指の腹でいじめられ、くびれをつつかれる。くすぐったさと、快感はきっと紙一重だ。頭の芯がもやがかかったみたいに、ぼんやりしてくる。
「恥ずかしいことされて、気持ちよくなってるんだろ? やらしいなあ」
二階堂の手で余すところなく刺激されて、もっと昂ぶってしまう。止められない。硬くなったものを擦られ、これ以上ないくらいに張りつめていた。
「だって、それ、二階堂さんが、アァ、ん!」
「ルカがやらしいから、もっとエッチなことしたくなるんだよ?」
「こ、こんなとこで、しないで……」
レーヴにいる時は、昼も夜もなく欲しがってしまうけれど、普段のルカは昼間の情事には抵抗があった。窓にはブラインドがおろされ、外から見えることはないが、どうにも罪悪感を覚えてしまう。
「そう? ソファも新鮮でよくない?」
言いながらも、二階堂はルカを寝室へと招いた。薄暗い部屋のベッドの上で、互いの着ているものを脱がせ合う。素面での行為は初めてのルカは、なにをするにも恥ずかしくて、うつむいてしまう。
ベッドはかなりの大きさで、二人で寝転んでも窮屈には感じない。
「今度サ、あれ着てよ、あれ」
「な、なんですか」
「コスプレ似合うと思うんだよね。メイドエプロンとか?」
「え、やだ、そんなの」
「想像するだけで興奮するわ。下着なしとか超エロくない? あ、むしろ、女の子の下着のほうがいいのか?」
「やあだあ、へんたいぃ!」
「かわいそうになあ、ルカは。こんな、変態のおじさんに捕まって、襲われるなんて」
言うが早いか、シーツの上に縫いとめられる。肌が重なっていると思うだけで、ルカの心臓は早鐘を打つ。
「そのうえ、全身舐めまわされるんだから」
「あ、ああ、アンッ!」
「ここ、好きだろ」
尖らせた舌先で、平らな胸の先、ぷっくりと膨らんだ乳首を嬲られる。腫れて敏感になったそこは、もっと弄ってほしいという風に芯をもって硬くなる。
根本を上下の唇で挟まれ、強く吸引される。くすぐったさと、甘酸っぱさと、どうしようもない快感が体中を駆け抜けていく。
こんなところを吸われるなんていたたまれないという羞恥と、もっとして欲しいという欲望がせめぎあって、淫らな欲望の前に膝を屈してしまう。
「ルカのここ、いっぱい愛してあげる」
「やあっ、乳首、それ、されると、あっ、ダメぇ」
「こうかい?」
ねっとりとした舌遣いが神業すぎて、ルカの神経は灼ききれる寸前まで昂っていた。
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